1994年にAmazon.comを設立し、27年間でオンライン書店を巨大ECプラットフォームにまで成長させたCEOのジェフ・ベゾス氏。今ではクラウドコンピューティングサービスからコンテンツ配信まで幅広く手掛ける。Amazon.comは米国時間2月2日、ベゾス氏が2021年7~9月期にCEOを退任し、取締役会長職に移行することを明かした。
ベゾス氏の後任はAmazon Web Services(AWS)のCEO、アンディ・ジャシー氏が務めることとなる。ベゾス氏は取締役会長となり、Amazonの基金「Day 1 Fund」、自らの基金「Bezos Earth Fund」、宇宙船企業のBlue Originや米メディアのWashington Postにより多くの時間を割くという。
Amazon.comは同日、ベゾス氏が退任の発表に際して社員宛に送ったメールについても公表した。そこで同氏は“Amazonがいかに多くの“発明”をし、人々の生活にとって“当たり前”のものにしてきたか、同社のこれまでの痕跡についてつづった。
この旅は27年ほど前に始まりました。Amazonはアイデアでしかなく、名前もありませんでした。当時はよく『インターネットとは何か?』と聞かれました。幸いこの質問は長いこと聞かれていません。現在、Amazonでは130万人もの優秀でひたむきな従業員を雇用し、数百万もの顧客や企業に向けてサービスを提供しています。そして我々は最も成功した企業の1つとして知られています。
どのように実現したのか?発明です。我々の成功のルーツには発明があります。共に狂ったようなことをして、それを当たり前のようなことにしてきました。カスタマーレビュー、1クリック、パーソナライズされたレコメンデーション、Primeの異常なほど迅速な配送、Just Walk Out(レジなしの決済サービス)、Climate Pledge(気候変動に対する誓約)、Kindle、Alexa、マーケットプレイス、インフラストラクチャクラウドコンピューティング、Career Choice、その他の多くの分野を開拓してきました。驚くべき発明はうまくいけば数年後にはあってあたり前のものとなります。人々はあくびをします。そのあくびこそが発明家が受け取れる最大の褒め言葉なのです。
Amazonが同日発表した2021年第4四半期の決算は売上高は初めて1000億ドル(約10兆5000億円)を超え、純利益ともに過去最高だった。ベゾス氏は、記録的な業績を達成している今こそが、CEOの座を後任者に託すのに最適のタイミングだと判断したようだ。
ベゾス氏の後任者としてAmazonのCEOとなるジャシー氏は最初期からAWSに関わってきた人物だ。AmazonにとってAWSは利益の柱。ジャシー氏の指揮の下、今後はクラウド事業に注力するとみられる。