「まずは自分たち自身が自社ツールを使ってABテストを年間に何万回とやり込んでいます。それだけやっていると、エンドユーザーがサイトのどこで行き詰まっているのか、何をすればうまくいくのかがある程度見えてくるんです」(深田氏)

自社サイトにハンバーガーメニュー(「≡」のアイコンを押すと商品一覧など、サイトのナビゲーションメニューが表示されるデザインのこと)を取り入れているある企業では、アイコンを一度もクリックしたことがない人に対して「このアイコンをクリックすると商品一覧が見れますよ」というガイドを表示するように変えたところ、購入完了率が25%改善された。

この話を他の企業の担当者にすると「そんなことわざわざ説明しなくても分かっているのでは」と驚かれるそう。実はこうした担当者にとって“当たり前”だったり、“意外”にも思える施策が成果に結びつくことは珍しくなく、そのような現場のナレッジをCSの担当者が顧客に提供しているのだという。

また手厚い支援を行うことは顧客の満足度向上に繋がるだけでなく、”R&D”のような効果も果たしている。言わば顧客に伴走する過程でSprocketのメンバーが自社ツールを頻繁に使い混んでいるため、「顧客の目線で、あると嬉しい機能」などにいち早く気がつけるわけだ。

実際にSprocket上で提供されている機能も、最初は社内ツールのような位置付けで実験的に開発されたものも少なくない。それがやがて正式な機能としてプロダクトに組み込まれ、顧客にも提供されていく。そのようなアイデアのタネはいくつもたまっているようで、今後それらが順々にプロダクトに落とし込まれていくことになりそうだ。