そのあと、2人が出会う前に収録したそれぞれのインタビュー映像が流されます。このとき初めて、お互いの主義主張や考え方がまったく異なることが判明するのです。動画を見たあと「部屋から出ていくか。それともビールを飲みながら話を続けるか」と問われ、2人はどちらを選ぶのか。

「そりゃビールだよな」と乾杯し、ハイネケンの小瓶を片手に和やかに議論を始めるのです。「今日は一緒に働いて楽しかったよ」「オレたち意見は違うけど、とりあえずこうやってビール飲むのはいいよな」「人生に白黒なんてはっきりつかないよな」。そんなふうに 語り合いながらビールを飲むコマーシャルは、実に感動的です。

ペアワークで一緒に汗を流し、運命共同体として1つのプロジェクトに取り組む。考え方がまったく違っていても、1つの仕事を成し遂げることはできる。「なんだ、オレたちはケンカしたりぶつかったりする必要なんてなかったのか」と、みんなが気づくのです。

SNS社会では、至るところで相手を論破しなければ気が済まないとばかりに、ロジックとロジックをぶつけ合っています。でも相手の主義主張なんて簡単に変わりはしません。

世界は複雑で、どちらにも正義があるというのがほとんどです。それでもなお相手を強引に屈服させようとしたら、最終的にはケンカ、戦争になってしまいます。

ハイネケンのコマーシャルは、プロセスでつながる大切さを伝えるためのとても良い教材です。

YouTubeで「価値観の違う他人と仲良くなれるか?」と検索すると、日本語字幕つきの4分半の映像を視聴できます。皆さんもアクセスしてみてください。

このように人間というのは本能的に、他人とプロセスを共有することに幸福を感じ、主義主張を超え、つながることができる生き物なので、プロセスエコノミーは人間本来のメカニズムと非常に相性が良い仕組みなのです。