データを集めることで、各医療機関との関係性や対策を簡単に可視化できるのが特徴だ。ダッシュボード上では前年同期比と比べて各医療機関からの紹介患者数がどのように変化しているのかを調べられるほか、連携先マップを用いれば近隣の医療機関との関係性を、数字を基に把握することもできる。

単にデータを閲覧するだけでなく、意思決定を直接アシストする機能やマーケティング施策を実行するための機能も搭載。たとえば一定期間紹介がない医療機関や前年に比べて紹介件数が減っている医療機関を割り出して自動で通知してくれる仕組みがあり、メール機能を使えば作成から送付、開封率の分析までがforo CRM上で完結する。

foro CRMの画面イメージ
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ビジネスの現場ではSalesforceを始めとするCRMツールの活用が広がっているが、病院経営においては十分に活用されていないのが現状だ。重要な顧客である地域の医療機関に対しても、自社の状況を積極的に発信するマーケティング活動や営業活動、すでに接点のある相手との関係を深めるためのCS(カスタマーサクセス)活動などが不足している場合が多いと柳内氏は話す。

そもそも従来は必要なデータが複数の場所に散らばってしまっていたり、アナログな状態で管理されていたりしたことで、効果的にデータを活用する難易度が高かった。

foro CRMの場合は電子カルテなど既存システムと連携してデータを1カ所に集め、そこに日々の訪問記録やコミュニケーションの記録を残していけば強固な顧客データベースができあがる。

実際に顧客へのアプローチを変えてみた結果、紹介数にどのような影響を与えたのか──。1つ1つのアクションに対してもデータを基に検証・改善できるようになる点などが顧客からは好評だという。

foro CRM導入後のわかりやすい変化としては、紹介数の増加や質の向上(自院の特徴や状況が正しく伝わった結果、それに合った患者が紹介される)が挙げられるが、時間がかかっていた業務の効率化や現場の意識改革につながった事例などもあるそうだ。

もともと柳内氏は前職でベンチャーキャピタルに務めており、電子カルテ関連のスタートアップにも2社出資をした経験がある。その際に病院のデジタル活用に関する課題を聞いていたことに加え、BtoBのSaaSプロダクトへの出資経験があったことや親族が医療機関で働いていたことなども合わさって、2017年8月に「病院経営のDX」をテーマにメダップを立ち上げた。