そして2021年には、9月までの時点で、SmartHR、製造業の受発注プラットフォームを提供するキャディや、塾・予備校向けのソリューションを開発するatama plusなどが、海外投資家からの資金調達を発表している。

海外投資家から資金調達した主なスタートアップ
 

アンドパッド取締役CFOの荻野泰弘氏やatama plus代表取締役CEOの稲田大輔氏は、海外投資家を含む大型資金調達を実現した背景について「展開する事業領域におけるトッププレーヤーだからこそ、海外投資家からの資金調達を成し得た」と説明する。

今後も海外投資家の投資は続く傾向にありそうだ。8月にはシードVCのCoral Capitalが総額140億円規模となる3号ファンドの組成を発表。同ファンドにはPayPal創業者のピーター・ティール氏が率いる米VCのFounders Fundなどが出資するが、創業パートナー兼CEOのジェームズ・ライニー氏は「良い案件が出てくればFounders Fundに繋げていくといった動きもできればと思っています」と話した。

また、現在は海外スタートアップへの投資を行っている、ソフトバンクグループの総額約14兆円のSoftBank Vision Fund(SVF)も、日本での投資活動を開始するのではないかと噂されている。

SVFはすでにビジネスSNSの「LinkedIn」上では日本での投資担当者も募集している。またある起業家は9月に実施した取材で「パートナーではないが、SVF(の関係者)に会う予定だ」と口にした。その起業家は大手企業もスタートアップも参入する領域で事業を展開するが、アンドパッドやatama plus同様「競合は追いつけない状況にある」と強気に語る。

海外投資家やSVFのような巨大ファンドのまなざしは、各領域のトッププレーヤーたちにのみ向けられる。もちろん、資金調達はマストではないが、調達額の大型化は、トッププレーヤーを追従する競合スタートアップに、より苦しい戦いを強いることを意味している。