NOT A HOTELは8室のフラッグシップモデル販売開始と同時に、プレシリーズAラウンドで総額8.5億円の資金調達実施も発表している。2020年7月にシードラウンドで実施した10億円の資金調達に続く今回の調達では、投資家として、オープンハウス、オリエンタルランドイノベーションズ、GO fund、マーキュリアインベストメント、BREWなどが新たに参加した。

NOT A HOTELは前述したように、オーナーがすべての拠点のNOT A HOTELを相互に利用できるというコンセプト。2021年5月には、NOT A HOTELをはじめとするホテルの運営・マネジメントを担う合弁会社、NOT A HOTEL MANAGEMENTも設立した。資金調達や合弁会社設立を礎に、今後の複数拠点開発、そしてフランチャイズ展開も視野に入れる。

今回販売する8室は、1室あたり3億円台から8億円台までのレンジだ。濱渦氏は「シェア買いで買いやすくはなったが、さらに買いやすく、将来的には1000万円を切るぐらいまでのラインアップをそろえたいと思っています」という。

「1000万円でセカンドハウスが持てる。そういう世界観まで広げたい。今後、デベロッパーと組むことにより、いろいろな展開も考えています。そういう意味では、今回の資金調達でオープンハウスに入っていただいているのは面白いところかもしれません」(濱渦氏)

濱渦氏は、不動産流通のセカンダリーマーケットづくりにも意欲を示している。

「不動産を部屋買いして、その小口化した権利を売買できるマーケットプレイスを数年以内につくっていく予定です」(濱渦氏)

冒頭で触れたとおり、宮崎市青島財産区が保有する国定公園内に立地するNOT A HOTEL AOSHIMAは、同社が宮崎市から35年の定期借地権で借りた土地で、30年使えるホテルの長期使用権を信託化して証券として販売するというスキームを採用している(不動産信託受益権の証券化)。

「これ自体が結構新しくチャレンジングな取り組みですが、近い将来、不動産を証券化して、これを小口のセキュリティトークンとして販売したいというのが最終目標です。ただ、今はまだ登記をしなければいけないとか、不動産をデジタル化する仕組みがない。そこは法整備とセットかなとは思っていますが、今回のようにCGでイメージを公開して、それをトークン化して販売する、というスタイルがうまくいけば、不動産のデジタル化、オンライン販売はより進んでいくと思うんです」(濱渦氏)