「使いすぎないか不安」といった理由に、クレジットカードを保有しない若年層は少なくない。クレジットカード会社のJCBが実施した「クレジットカードに関する総合調査」によれば、日本のクレジットカードの保有率は86.6%だが、20代に限定して見ると男性で74%、女性で79.8%と平均より低い値になっている。
クレジットカード以外の選択肢も増えている。昨今ではスタートアップを中心に、後払い決済(BNPL)やプリペイドカードを提供する事業者も台頭してきている。後払い決済は先日PayPalに3000億円で買収されたPaidyや約10億円の資金を調達したネットプロテクションズ、プリペイドカードはバンドルカードを提供するカンムがそうだ。
クレジットカードの代替となる金融サービスを提供するプレーヤーが増える中、あえて“クレジットカードの提供”にこだわった起業家がいる。ベリトランス(現:DGフィナンシャルテクノロジー)の創業メンバーであり、日本の決済サービスに長く携わってきたナッジの沖田貴史氏だ。
ナッジはスマホ連動型のクレジットカード「Nudge(ナッジ)」を提供するスタートアップ。昨今、海外などで注目を集める“チャレンジャーバンク”の日本版とも言えるサービスの1つだ。
チャレンジャーバンクとは新たに銀行免許を取得し、これまで銀行が提供していた金融サービスをアプリ上で提供する企業のことを指す言葉。ただ、日本はデジタルバンクに特化した銀行業ライセンスや審査の枠組みがあるわけではなく、銀行法に定められた要件を満たさなければ銀行業免許を取得できない。そのため、新規参入のハードルは高いことから、既存の銀行と連携した“デジタルバンク”のようなサービスが多い。