「そうした従来のクレジットカードの仕組みに対して『怖い』や『不安』といったイメージを抱く若年層は想像以上に多くいました。だからこそ、若年層をメインターゲットにしたクレジットカードを提供するべきだと思ったんです」(沖田氏)

Nudgeはサービスイメージも若年層を意識したデザインになっている
Nudgeはサービスイメージも若年層を意識したデザインになっている

黒字化の目安はユーザー数25万人、2年後には黒字化へ

Nudgeは審査の際に過去の不正利用や多重債務、延滞の情報は確認する一方、性別や勤務先、年収などの情報は確認しない。与信上限は10万円となっており、使用した月の翌月末までにセブン銀行のATMで返済すれば、手数料は一切かからない。期限を越えると、1日ごとに「2000円につき1円の手数料(年利18.25%相当)」が発生する仕組みとなっている。

クレジットカードの支払い銀行口座からの引き落としが一般的だが、ナッジはあえて「セブン銀行ATMを使った現金での返済方法」に限定している。その理由は、口座引き落とし自体が「怖い」という若年層の声を反映したからだという。

「カードの締め日、引き落とし日が分からず、その日になって口座から引き落とせなかったらブラックリストに載ってしまうのではないか、と不安になる若年層は多い。そのため、まずは分かりやすく、利用の最短翌日から好きな金額をセブン銀行ATMで返済できる仕組みにしました」(沖田氏)

現在、返済方法はセブン銀行ATMのみ。ただ、銀行間の資金決済を担う全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)の送金手数料が10月1日から一律62円に引き下げになる予定で、それに伴い銀行振込による返済方法も今後提供する予定となっている。

また、プリペイドカードにしなかった理由について、このように語る。

「プリペイドカードも選択肢にありました。ただ、プリペイドカードはチャージをしてもらうのが大変ですし、意外と使えない場所が多くあるんです。また、チャージする際に一定の手数料がかかるなど、ユーザーフレンドリーとは言い切れない仕組みのものもあります。クレジットカードは審査に手間がかかるものの、現金の次に使える場所が多い。UX(ユーザー・エクスペリエンス)の良さも含め、クレジットカードの提供が最も良い選択肢だと思ったのです」(沖田氏)

ナッジの収益も従来のクレジットカード会社と同じく、加盟店から得られる決済手数料がメインとなる。ただし「ユーザーを借金漬けにして延滞の利息だけで儲けるだけの事業にはしたくない」(沖田氏)として、利息の発生を知らせる通知機能をアプリに実装している。また、長期延滞にまつわる事務手数料も一切取っていない。