WeWork Londonのローンチパーティに出席した、WeWorkの創業者で元CEOのアダム・ニューマン氏ら Photo:David M. Benett/gettyimages
WeWork Londonのローンチパーティに出席した、WeWorkの創業者で元CEOのアダム・ニューマン氏(手前) Photo:David M. Benett/gettyimages

米ニューヨークに本社を置き、世界各国でシェアオフィスを展開するスタートアップのWeWork。日本でも渋谷や新宿などの東京都内だけでなく、大阪や福岡でもオフィスを開設する。今年に入ってからはディー・エヌ・エー(DeNA)やクックパッドといったIT企業が本社機能を移していることでも話題となったWeWorkだが、その創業者の1人であるアダム・ニューマン氏がロックスター顔負けの破天荒さでメディアを賑わせた人物であることをご存じだろうか。

ニューマン氏はイスラエルの出身。「キブツ」と呼ばれる集団農業共同体で育ったのちに米国に移住。その後イスラエルに戻り軍人となり、再び渡米し大学院で経営を学んだ。その後は子供服の会社を立ち上げたのち、2010年にWeWorkを創設。企業価値にして470億ドル(約5兆2230億円)規模にまで成長させ、後に崩壊させるに至る。

WeWorkはソフトバンクグループの10兆円ファンド、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから巨額の資金を調達したものの、新規上場を申請した際に、提出書類(S-1)から会計面で多くの問題を抱えていたことが発覚。ニューマン氏が資金を私物化していたことも分かった。結果として上場は幻となり、ニューマン氏は不正会計などを理由にCEOを辞任することとなった。

ニューマン氏の破天荒さは、U-NEXTが9月30日から日本での独占配信を開始した『WeWork/470億ドル企業を崩落させた男』というドキュメンタリー映画からも見て取れる。このドキュメンタリーは2021年3月に米国のイベントSXSWで公開されたのち、米Huluで配信されて話題を集めた作品だ。

「“We”Work」という社名が示すように、“I(私)”ではなく“We(私たち)”をコンセプトに置いた彼らのコワーキングスペースは、オフィスを「不動産」ではなく、「SNS」と捉えたものだ。ドキュメンタリーでも、「(WeWorkは)世界初のフィジカル・ソーシャル・ネットワーク」と語るニューマン氏の様子がある。