鈴木氏はなぜ、早い段階からTikTokに「全振り」しようと思えたのだろうか。そして日本上陸からの2年間でTikTokにはどのような変化があったのだろうか。日本でいち早くTikTokを活用したビジネスを展開し、TikTokの有識者ともいえるホリプロデジタルの鈴木氏がTikTok Japan マーケティング本部 リードコミュニティ&カテゴリーの白地祐輝氏にこの4年の変化について話を聞いた。

ダンスや口パク動画“だけじゃない”動画が急増

鈴木:大学時代から前職にかけて、ずっと動画事業に携わってきました。その過程で、最も関心を持ったのが短尺動画です。ただ、その頃はYouTubeに代表される「長尺動画」が時代のトレンド。数多くのYouTuberが世の中に生まれていきました。

そうした世の中の流れは感じつつも、自分の興味関心はずっと短尺動画にありました。2018年7月にホリプロデジタルを設立してから1年ほど経ったタイミングで、TikTokに出会って衝撃を受けました。そこで「TikTokへ全振りしよう」と決めたのです。

そのきっかけが、女子高生たちのスマホの使い方でした。当時、通勤中の電車で見かけた女子高生たちのほとんどが「画面を横にするのがめんどうだから」と、YouTubeを縦画面のまま見ていました。その姿を見て、「今後は縦画面がトレンドになる」と確信を得たんです。

日本に上陸してから約2年ほど経ちますが、今やTikTokはYouTubeと肩を並べるほどまでに急成長を遂げています。この様子をTikTokの“中の人”である白地さんはどう見ていたんですか。

白地:当時のTikTokは、“踊ってみた”などのダンス動画やリップシンク(口パク動画)が流行していました。しかし、このときのユーザーはまだ若い世代がメインで、テレビで取り上げられても「若年層の間で人気のアプリ」という扱いでした。

ただ、若年層以外の人にも使ってもらいたい。そこで影響力のある芸能人やインフルエンサーに使ってもらう目的で、芸能事務所の人たちと2018年ごろから会う回数が増えていました。鈴木さんとは、その過程で出会いました。

当時のTikTokは今ほどコンテンツ数がなかったので、他の部署の人と一緒になってユーザーが喜ぶコンテンツをつくっていましたね。

現在では、芸能人やインフルエンサーだけでなく、一般ユーザーから生み出された多様なコンテンツが登場し続けています。そして、人気コンテンツはトレンドになるなど影響力を持つようになっている。ここが、この4年で最も変化したところですね。