鈴木:今、ホリプロデジタルではYouTube上で「デジホラ」という短編ホラードラマをつくっています。おかげさまでフォロワーは2万ほどいて、好感触だと思っているんです。このように、以前までは長尺動画がほとんどだったYouTubeでも、短尺動画が受け入れられつつあります。この動きを、白地さんはどう捉えていますか。

白地:基本的に、さまざまな動画コンテンツがあっていいと思っています。そしてTikTokとしても短尺・縦型動画で、なおかつランダム再生されるなかでの最適なフォーマットを探っているところです。

2021年4月に、東宝さんとコラボして新しい映画祭「TikTok TOHO Film Festival 2021」を開催しました。北村匠海さんや三池崇史監督、映画評論家などを招いて、モバイルで撮影した動画コンテンツをコンテスト形式で表彰するものです。東宝さんも短尺・縦型動画に未来を見出してくれていて、実現しました。そういう意味では、これまで通常だった「映画は2時間」ではなく、モバイルでの楽しみ方も広がるのではないかと考えています。

鈴木:動画のトレンドに関する話題だと、アメリカで起こったミーム(ネット上で話題になった動画などをアレンジしたコンテンツ)もすごかった。弊社の景井ひなもミームに挑戦したことをきっかけに人気に火がつきました。このように、アメリカで流行したものが日本へ輸入される現象もよくあります。そう考えると、TikTokの使い方を先取っているアメリカの事例を日本に取り入れれば話題になりやすい、というような方程式もできそうです。

白地:アメリカでしかはやらないものもあれば、日本ではやるものもあると思っています。「日本人ならどう受け取るだろう」など、その裏側を考えながら作り込めるところがミームの魅力。その点、景井ひなさんはその嗅覚に優れていますよね。

課金機能のほか、採用活動のツールとしても

鈴木:日本上陸から現在にかけて、TikTokにとって「1つの完成形」ができたんじゃないかと感じています。次の3年にかけて、何か見えているものはありますか。

白地:我々のミッションは「Inspire creativity, Enrich life(創造性を刺激し、喜びをもたらすこと)」。さらに新しいものに出会ってもらうために、レコメンドやエンゲージメント向上は引き続き取り組みたいところです。

今後、さらに取り組みたいのは課金の仕組みの導入です。すでにイギリスやインドではEC機能をテストしています。日本でも2021年4月から、ギフティング機能をリリース。具体的な数字は非公開ですが、飲食店ではバイトスタッフを1名雇えるほどのギフティングが得られるようになったと聞いています。TikTok上でさまざまなユーザーと出会い、ファンになってもらう。そこからクリエイターをサポートするような動きが始まっています。