「私の場合、GCPを外部のVCとして見ておらず、同じ経営チームのメンバーとして見ています。そのため、自分のコントローラビリティを担保したいという気持ちはそれほど強くありません」

「ファンドサイズを拡大しているVCはGCPに限りません。そのため、スタートアップ側が経営における独立性の面において妥協点を見つけられれば、今回のように、1社のVCがシードラウンドからシリーズAラウンドを単独で引き受けるケースは増えていくのではないでしょうか」(貴山氏)

南氏も同様に、「何らかの機会損失もあるのではないか」と話す。1社のVCからのみ出資を受けることで、他のVCが持つ知見やネットワークにアクセスできなくなってしまうからだ。

「株主が増えることで、マンパワーやブレインパワーも増えます。資金調達では『お金だけじゃない価値』も手に入りますが、単独のVCから調達する場合はその数や内容が限られてしまいます」

「そしてTebikiは今回の資金調達を通じて、良くも悪くも、GCPの色が濃くなりました。今後の資金調達において、それを良しとする投資家も、懸念点とする投資家も出てくるのではないでしょうか」(南氏)

貴山氏も南氏も、取材では共通して「メリットもデメリットもあるため、双方の思惑が一致するのであれば成立するスキーム」と話していた。とは言え、日本でも8億円のシード・アーリーラウンドが単独のVCで成立するケースが出るようになった。ということは、リード投資家以外のVCには今後、ラウンドに参加する際に“資金力”以外の強みを今まで以上に求められていくのではないか。