動画特注プラットフォームはCameoに限らず、競合サービスも急成長している。以下はウェブ上のさまざまな公開情報を収集し分析するHeadlineの自社開発ツール「EVA」で抽出した、Cameoに関するデータだ。

上はサイトやアプリでクレジットカード決済が行われた回数や金額を示したもの。下は異なる角度からサイトとアプリのトラフィックを測定したデータだ。サイト内の決済額は1年で約5倍に拡大し、トラフィックは10倍ほどにまで伸びていることが分かる。前述のMemmo、Omazeといった競合サービスでも同様の成長が確認できた。

では最後に、上記データも用いた上で、なぜCameoが急成長を果たしたのか、解説していこう。

パンデミックによる外出自粛

決済回数、額、そしてトラフィックが伸び始めたタイミングは、アメリカやヨーロッパが新型コロナウイルスの影響を受け始めた時期と一致している。外出自粛により、ウェブサービスは多くの新規顧客を獲得。そして物流が医薬品や生活必需品の運送でひっ迫する中、ECではない“デジタル”なプレゼントの需要が高まった。有名人もコロナが原因で収入が減り、新たな収益源としての1つとしてCameoのようなサービスが選ばれた。

スヌープ・ドッグ氏の登録

Cameoはローンチ当初から、いわゆる“B級セレブ”の獲得に注力してきた。と言うより、B級セレブしか獲得できなかった。一流の有名人は小銭を稼ぐ必要がなく、また、「生活苦を理由に動画メッセージに対応していると思われたくない」、「B級セレブと一緒くたにされたくない」などと考えていたためだ。

そんな中、老若男女問わず、多くの熱心なファンを抱えるスヌープ・ドッグ氏がCameoに登録したことで、状況は一変した。スヌープ・ドッグ氏の動画メッセージはSNSで拡散され、多くのファンに喜ばれた。イメージアップや知名度アップにつながったことから、他の有名人もCameoに登録するように。結果としてユーザー数も拡大した。

クリエイターエコノミーの台頭

テレビやラジオの全盛期は終わり、今では「YouTube」、「TikTok」、「Twitch」や「17LIVE」といったさまざまな配信プラットフォームが登場してきた。そこでは個人のクリエイターが自らコンテンツを配信することで、ファンを獲得し、マネタイズしている。クリエイターは、これまで大物な有名人には興味がなかった層でも応援できる、“ニッチ”な有名人とも言えるだろう。

クリエイターやそのファンが増え続けるこの時代は、Cameoのようなツー・サイド・プラットフォーム(編集部注:売り手と買い手を結ぶプラットフォーム)にとって絶好の時だと言えるだろう。