アルプスアルパイン系のアルプス物流の熾烈な争奪戦で、落札に成功したのがロジスティードだ。日立製作所の物流子会社から米投資ファンドKKRの傘下に入り、早速大型買収に着手した形だ。中谷康夫会長兼社長は2027年の再上場を見据え、さらなる一手を打とうとしている。特集『物流大戦』の#6で、中谷氏にその狙いを聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
ミニマムキャッシュで筋肉質に
KKR流「ビリーズブートキャンプ」
――旧日立物流が米投資ファンドコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の傘下に入り、ロジスティードとなって2年目に入りました。日立物流時代と比較し、スピード感を持って構造改革を進められている手応えはお持ちですか。
正直、想像以上に進んでいます。
われわれはグローバル企業になるために必要なことを3~5年ぐらいかけてやろうと思っていましたが、この1年間であっという間にそのベースができてしまった。それくらいのスピード感です。
「ビリーズブートキャンプ」が昔はやりましたよね。まさにビリーズブートキャンプのように目標と期間を設定し、経営の筋トレを行っているわけです。
例えば多くの日本の企業は、キャッシュに余裕を持って会社の経営をしたいと考えがちですが、KKRの考え方はミニマムキャッシュです。通常、われわれは1000億円ぐらいの資金がなければ駄目だろうと思っていたのですが、今は400億円程度で経営を回している。資金が足りなければ都度、銀行から借りればいい。この考え方がまず、日立物流時代と違います。
ロジスティードの中谷康夫会長兼社長は、KKR傘下入り後の構造改革を「ビリーズブートキャンプ」に例える。会社は筋肉質となり、グローバル化を今後加速する。その鍵を握る、もう一つの「秘策」を次ページで明らかにする。