住む場所によって年金の手取り額が異なる――。この衝撃の事実は、意外と知られていない。では、実際にどのくらいの差があるのか。過去にも本連載で取り上げ、大きな反響を呼んだ『「年金手取り額が少ない」都道府県庁所在地ランキング』について、国民健康保険料や介護保険料の改訂を反映した「最新版」を作成した。年金年収「200万円編」と「300万円編」の2回に分けてお届けする。まずは「200万円編」をご覧いただこう。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
住んでいるところで
年金の「手取り額」が異なる驚愕の事実!
リタイア後に受け取る年金額は、「ねんきん定期便」で知ることができる。その際に注意したいのは、ねんきん定期便に記載の年金額は「額面」であり、「手取り額」ではないこと。年金収入にも、税金や社会保険料がかかるのだ。
「年金から税金や社会保険料が引かれるのですね!知らなかった」と言う人が少なくないが、もっと驚くべき事実は、「年金の手取り額は住んでいる場所によって異なること」である。
筆者は手取り計算が大好きな、自称“手取リスト”のファイナンシャルプランナー(FP)だ。本連載でも「給与収入の手取り」、「パート収入の手取り」、「退職金の手取り」など、さまざまな手取り額を試算している。
今回は、47都道府県の県庁所在地別の「年金の手取り額ランキング」をお伝えする。同じ年金収入で手取り額に結構な差が発生することを仕組みとともに解説しよう。
年金の手取り額は、次のように算出する。
同じ年金収入で手取り額が異なる要因は、意外にも税金ではなく、社会保険料にある。
ちまたでは「住民税は、自治体によって高い、安いがある」と言われているが、これは都市伝説であり、事実と異なる。住民税は、全国どこに住んでいても原則として同じ(均等割の非課税要件など細かい部分で違いはあるが、所得にかかる税率は変わらない)。所得税も同様に、どこに住んでいても計算方法は同じだ。
ところが、国民健康保険料と介護保険料は自治体により保険料の計算式や料率が異なり、手取り額に結構な差が発生する。
そして、高齢化が進んでいるため、国民健康保険と介護保険の保険料が上がり続けていることも見逃せない。国民健康保険料は毎年見直され、介護保険料は3年に1回の見直しされ、今年がそのタイミングだ。
最新の保険料が公表されたので、本連載では「額面年金収入200万円」と「額面年金収入300万円」の二つのケースについて、50の自治体の手取り額を試算した。今回と次回(9月12日(木)配信予定)の2回にわたって、ランキング形式で紹介する。