最難関中学受験に異変!「御三家」に合格しても「渋渋・渋幕」への進学が増える納得の理由写真はイメージです Photo:PIXTA

10年、20年先の社会の変化を見据えて、子どもの教育を考え始める親が増えている。幼児から高校生まで教える人気学習塾「VAMOS」の富永雄輔代表による連載第1回では、そんな親たちが選ぶ“学校群”を実名で紹介。そうした学校の教育方針は何が違い、入学するにはどんな対策が必要なのか。(進学塾VAMOS代表 富永雄輔、構成/ライター 奥田由意)

2024年の中学受験戦線で異変
渋幕、渋渋の衝撃

 2024年の中学入試で、関係者に衝撃が走りました。渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(以下、渋幕)が、男子の偏差値*77、女子の偏差値78()で、御三家トップの開成中学校・高等学校(以下、開成)(78)、桜蔭中学校・高等学校(以下、桜蔭)(78)とほぼ並んだのです(女子は完全に並んでいます)。

 男女共学の進学校がトップクラスに位置するのもこれまでにないことでした。渋谷教育学園渋谷中学高等学校(以下、渋渋)も男子74、女子76(いずれも1次日程)と開成、桜蔭に伯仲しています。
*(出典)首都圏模試センター「2024年、19年、14年中学入試結果偏差値一覧(合格率80%・50%)」
※渋幕、渋渋の偏差値はいずれも一次日程。

 偏差値だけでなく、実際に桜蔭と渋幕と両方に受かった生徒が、桜蔭を「蹴って」渋幕に進学する例も出てきています。これは決して一過性の変化ではありません。

 そこには、親たちが、社会の変化にさらされ、その影響を身をもって経験したことで、子どもには自分たちの時代の教育とは違う変化の時代に即した「新しい教育」を受けさせたいと強く願うようになったという背景があります。渋幕・渋渋では「新しい教育」が実践されていると感じ取った先進的な意識の親たちが、子どもを渋幕・渋渋に進ませているのです。

 受験の現場で一体何が起きているのか。渋幕・渋渋はなぜ、ここまで人気が上がったのか。そこではどのような教育が行われているのか。また、渋幕・渋渋以外でも聖光学院中学校高等学校(以下、聖光学院)、豊島岡女子学園中学校・高等学校(以下、豊島岡女子)など躍進する学校の特徴は何か。最新の御三家の位置づけはどうなっているのか……。進学塾を経営し、受験生やその親たちを多く見てきた私自身の経験を踏まえ、解説していきたいと思います。