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世界のエンターテインメント市場の中でも高い成長率を維持し、存在感を増すゲーム業界。2021年11月に、ゲーム業界に特化したファンド立ち上げを発表したEnFi(エンフィ)代表取締役・Founding Partnerの垣屋美智子氏は、こうした業界の成長と変化により、日本のゲーム関連産業の立ち位置が相対的に弱くなっていると指摘する。

昨日公開した「ベンチャーマネーの流入で盛り上がるインディーゲーム開発──世界、そして日本ゲーム業界の今」では、プラットフォーム戦略を進める海外ゲーム大手やゲーム特化型ベンチャーキャピタル(VC)の存在、パブリッシャーを通さずにゲームを流通できるようになったインディーゲーム開発会社の動向について、垣屋氏に解説してもらった。本稿では日本のゲーム業界の現状と課題、今後取るべき方策について、垣屋氏に聞く。

外部ゲーム会社への投資にかじを切る大手

世界的に盛り上がりを見せているインディーゲーム開発。その背景ににはゲーム特化型のベンチャーキャピタル(VC)の投資があるのは「ベンチャーマネーの流入で盛り上がるインディーゲーム開発──世界、そして日本ゲーム業界の今」で紹介したとおりだ。力のあるインディーゲーム開発会社は、ゲームパブリッシャーを通さずに「Steam」などのプラットフォームを利用してゲームを流通させ、やがてヒットを飛ばすという傾向も現れている。

この「パブリッシャーを通さずにゲームを流通できる環境」の成立と同時に、「自らはゲームを作らず、他社への投資にかじを切る大手」の存在が、無名だが面白く、やがて大きく成長するインディーゲームタイトルの誕生に一役買っていると垣屋氏は指摘する。

実際に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)などは、この潮流に合わせて既にかじを切っている。元はといえばSIEは、プレイステーションシリーズというコンソールゲームのハードウェアと、自社名義で開発するソフトウェアを提供するファーストパーティーであり、コンソールプラットフォーマーとしても世界を席巻してきた。