誰もがスタートアップに投資できるように

VCとして活動する個人、いわば「ソロキャピタリスト」や、小規模な「マイクロVC」の数も増加している。加えて、YouTuberといったクリエイターによるスタートアップ投資も活性化している。誰もがスタートアップに投資できるような仕組みが整ったことも、その一因としてある。

例えば、AngelListは1000ドル(約11万円)からスタートアップ投資ができる仕組みを構築。また、Republicという、10ドル(約1100円)からスタートアップ投資ができるクラウドファンディングのプラットフォームも人気を集めている。

こうした背景から、上にはTigerやa16z、Sequoiaといったトップティア、下にはソロキャピタリストやマイクロVC、といった具合に板挟みにされている“中間層”のVCは苦戦を強いられている状況だ。

スタートアップからすると、a16zのようにラウンドをリードするトップティアのVCは、経営・採用支援といった資金以外の価値も提供してくれる。だが、ほとんどのVCは資金以外の価値は提供してくれない。

一方で、個人の投資家からは大きな資金は望めないが、ユーザーとしてプロダクトを使ってくれたり、特定の領域のスペシャリストとして手を貸してくれたり、といった価値が提供される。例えば、YouTuberから出資を受けた場合には、大きな宣伝効果が期待できるだろう。

ポッドキャスト・ニュースレター配信者も投資家に

コンテンツ配信者の存在感も増している。例えば、ポッドキャスト「20VC」を展開するHarry Stebbings氏は今年、マイクロVCを立ち上げた。また、ニュースレター「Not Boring」を展開するPacky McCormick氏は、ソロキャピタリストとしても活動する。McCormick氏は投資先について記事を書くこともある。そのため「McCormick氏を株主に迎えたい」と考えるスタートアップは少なくない。

投資先のプロダクトを世に広めたり、採用やデザインといった面で支援する──このような価値を提供する投資家、いわゆる「バリューインベスター」であることが、今まで以上に重要になってきている。米国では「これまでは出資するだけで成功するVCもいたが、それだけではもう通用しない」とも言われている。

2022年も続くVCの世代交代

2022年以降もVCの競争は激化していくだろう。そしてVCの世代交代も加速していく見込みだ。

今年はLightspeed Venture Partnersの創業者でマネージング・パートナーのJeremy Liew氏や、Spark Capitalの共同創業者でジェネラル・パートナーのBijan Sabet氏が引退を発表。そして、BUSINESS INSIDERが報じているとおり、来年にはSequoiaでも世代交代がなされるのではないかと噂されている。