細かいことは気にしない

 マレーシアでは、国民の休日ですらいきなり決まります。

 2021年12月には、「サッカーのマレーシアカップでクアラルンプール・シティFCが32年ぶりに優勝した」というだけの理由で「翌日が休日」になりました。「今日はヘイズ(煙害)がひどいので、明日は休みです」と学校から前日の夕方に連絡が来たこともありました。

 では、日本で急に休日が決まったとしたら、いったいどうなるでしょうか。

「学校が休み? じゃあ遅れた授業はどうするんですか?」
「電車の発着時刻はどうなるんですか?」
「仕事が終わらないので出勤したら休日手当は出るのですか?」
「派遣やパートで働いている人たちは大打撃です」

 そんなふうに訊いてくる人がたくさんいそうです(というか、私が言いそうです)。

 すると、細かい質問に答えるための人員が必要になり、マニュアルが作られ、FAQ(Frequently Asked Questionsの略語。「よくある質問」のこと)が作られ……と延々に仕事が増えていくでしょう。国会で質問が出て大騒ぎになるかもしれませんし、メディアからは厳しく問題点を追及されるかもしれません。

 おそらく、小学校の段階から、ガッチリと決まったシステムの中で生きているので、誰かが決めたことに対し、そこから外れたら質問したり文句を言ったりする癖がついているのです。

 反対に、マレーシアの人たちは、細かいことはほとんど気にせず、テキトーに現場で調整しようとします。最初に息子が通った学校では、運動会のような年間で予定されている行事が延期になることがよくありました。コロナ禍の日本のように、突然の中止や延期という事態が日常的に起きるのがマレーシアなのです。

 以前インド系の友人に、

「日本人はなんで予定を変えるだけで怒るの? 予定は予定じゃない? 変えてもいいものだよね?」

 と訊かれたことがあります。「予定は未定、頻繁に変わるもの」というわけです。

 私もマレーシアにいると、「まあ適当にやっておけば問題ないよね」となります。「まあいっかー」と割り切って考えていかないとストレスが溜まってしまうのです。