そして、第三がレールガンです。リニアモーターカーと同じ原理で、電磁誘導により砲弾を加速し、従来の数倍以上のエネルギーで打ち出して直接的にミサイル弾頭に命中させ、破壊するものです。米軍ではすでに従来の戦車砲の3倍程度のエネルギーを持つレールガンが開発され、近距離防御用の兵器として艦艇に搭載し試験されています。

日本は克服できるか?
レーザー兵器の二つの課題

 以上が現状のレーザー兵器の説明ですが、どれも大きな欠陥があります。

 現実のレーザー兵器は、遠くの物体を破壊する状態にまで進化していないのです。とにかく光速で飛ぶので命中率は高く、すべての核や通常兵器を無力化することは可能なのですが、一つは電力が多量に必要なため、敵のミサイルをすべて打ち落とそうとすれば、途方もない電力を準備していなければいけない点です。また、小型化もできません。

 そして最大のネックは、指向性の光は雲程度のものでもあたると拡散しやすく、遠距離の物体に到達する前に四散してしまう可能性が高いことです。

 この二つの課題の解決に、レーガン政権のスターウォーズ計画(ソ連のミサイルを迎撃するシステム)以来、世界はもう何十年も膨大な予算をつぎ込み、失敗を繰り返してきました。大国アメリカが苦しむくらいの兵器を日本がつくりあげることは、できるのでしょうか。

 しかし、指向性エネルギー兵器が実現すれば、弾道ミサイルの核弾頭を数100kmの距離から照射して破壊できるようになり、現状最も速い秒速7km程度のICBMの弾頭でも、ほぼ確実に着弾する前に破壊できます。

 地上のレーダーに発見されにくいように、地上すれすれに飛ぶ巡航ミサイルについても、上空からの監視で発見され、照射を受ければ確実に破壊されます。もしこれを日本が装備することができれば、国際政治の構造も大きく変化するでしょう。核大国の核兵器を背景とする国連運営の改革さえ可能になるのです。

 理屈ばかりを話しても信じられないという人には、外国の実際の実験を見た記者たちの記事をご紹介しましょう。