有力科学誌が論じる
兵器開発成功へのヒント
科学誌『Nature』の日本版である『Nature Japan』の記事では、以下のように述べられています。
<ニューメキシコ州での実験ではドローンが突然コントロールを失ってキリモミ状態で落下したり、迫撃砲弾が途中で燃え上がって爆発しました。これはボーイング社のファイバーレーザー兵器hel mdの力によるものです。砂漠に止められた凹型トラックの上では立方体の装置が素早く回転し、目に見えない赤外線ビームを発射して、標的を一つ一つ破壊しました>
開発者によれば、失敗を繰り返したレーザー兵器が成功の兆しを見せるようになったのは、光ファイバーを使ったファイバーレーザーの登場からだそうです。ファイバーレーザーは従来のレーザーに比べて、安価だけでなく移動可能で頑丈なのです。また、安定したレーザー光線を発生させられるようにもなりました。
使用する電力も、現在ではキロワット級。「スターウォーズ計画」時代にはメガワット級のレーダーが必要でしたが、桁違いに電力消費量が小さくなりました。実際、すでにテロリストが使うような兵器に対してはこれで十分であり、砲弾が安価なため、費用対効果も高いといいます。
同じく『Nature Podcast』は以下のように報じています。
<米国海軍は 2014年末に実験的な艦載レーザー兵器システムを使って、海賊が使う小型ボートを攻撃できることを証明し、現在ペルシャ湾に配備されている輸送揚陸艦USSポンスにはこれが搭載されています。
そして、レーザー兵器の大きな欠陥である、霧や雲の中でレーザーが拡散してしまう問題も解決しつつあります。この問題は天文学が明瞭な星の姿を得るのに用いる手法を使いました。簡単にいうと、乱気流の影響を打ち消すようにレーザー光線を自動的に歪ませることで、眼鏡をかけて目の収差を修正するのと同じ効果が出るのだそうです。この発見により2010年には米国の空中発射レーザーは飛んでいる弾道ミサイルを破壊できるようになりました。>