中国の税関職員もグルか
「箱に大きくマジックペンで〇・△・×などのマークを記入するのです。これは中国の闇組織の息のかかった税関職員が中身を見分けるための暗号で、通関を通さずにその箱を中国内の宅配業者に渡すことができるのです」
C氏の会社は、日本の処方箋薬を薬価で仕入れ、それを10倍~20倍にして中国向けに販売してかなりの利益を出した。しかし、近年は薬価で手に入れることが難しくなり、当時ほどの利益が出せなくなったという。
中国ビジネスのコンサルティングに携わるD氏は、最近の事情について、「厚生労働省の“薬価Gメン”が動き始め、医薬品卸に販売先の開示を求めるようになりました」と話す。
こうした摘発を逃れるため、一部で行われているのが「医薬品の買い戻し」だとD氏は言う。いったん大規模病院などに卸した薬を、医薬品卸が高く買い戻して、Gメンの摘発から逃れるというやり方だ。「現物を動かさずとも帳簿の操作だけでできてしまう」というコメントもあり、水面下では、かなり組織的かつ大胆な処方箋薬の“対中輸出”が行われていることがうかがえる(図版参照)。
処方箋薬の中国で行き先についてD氏は「これだけ大量にかつ組織的に行われていることからも、病院関係で間違いないでしょう」と類推する。