「創業以来の危機」住友化学が迫られる2つの“売却シナリオ”、欲しがる会社の実名とは?Photo:PIXTA
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 前回の「大阪万博」が開かれた1970年当時、この商人の町に君臨していた住友御三家と言えば住友金属、住友化学、住友銀行の3社だということで、誰も異論を挟まなかった。片や、再来年に予定されている次の「大阪万博」の行方に黄信号が灯るなか、件の御三家はというと、住金は新日本製鐵(現、日本製鉄)に吸収合併されて消滅し、住銀も金融ビッグバンの最中にさくら銀行と合併し三井住友銀行となった挙句、本社を東京に移してしまった。

 この2社に対して、相対的に「安定」しているかに見えていた住化が、ここに来て業績の急激な悪化に見舞われている。24年3月期決算の最終損益予想が▲950億円の赤字に沈むと発表したのは、11月初旬に開示した24年3月期第2四半期決算の場において。4~9月のコア営業損益が▲966億円のマイナスとなり、最終損失も▲763億円へと膨らむことが期を通して響くのだという。

 原因は、サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコとの合弁石油精製&石化会社であるペトロ・ラービグが、市況の悪化で業績不振に陥ったうえ、連結子会社の住友ファーマが抗精神病薬「ラツーダ」のパテントクリフを乗り越えられず、同第2四半期のコア営業損益が▲658億円に転落したことが大きい。

 岩田圭一社長は「創業以来の危機的状況」との認識を示し、不採算事業の縮小・売却を含む事業再構築や投資の厳選といった「短期集中業績改善策」に取り組むと力んだものの、市場関係者の多くは抜本的な事業構造改革が必至との認識で一致している。ペトロ・ラービグも住友ファーマも、“あの人”の黒い置き土産だからだ。