住友ファーマは大型製品の特許切れ間近、さらに「2つの問題」が国内事業を直撃Photo:PIXTA
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 住友ファーマの野村博社長はいま頃、頭を抱えているだろう。22年度を最終年度とする中期経営計画の売上高6000億円は未達確定で今年5月に5500億円に修正。さらに、北米で2000億円以上を売上げる抗精神病薬「ラツーダ」のパテント・クリフが23年度から本格化し、再成長への道のりは「たやすいものではない」と説明する。穴を埋める後継品の育成に追われるなか、別の問題が発生した。

 いまや日本で年間300億円以上(薬価ベース)を売上げる主力のGLP1受容体作動薬「トルリシティ」。今年8月3日、製造販売元である日本イーライリリーとの販売提携を契約満了に伴い、年内で終了すると発表した。同剤の15年9月の発売以来、住友ファーマが販売と流通を、両社で情報提供にあたってきたが、23年から住友ファーマはすべての活動から離れることになった。契約更新にならなかった理由を野村社長に本誌が尋ねたところ、「我われもよくわからない。何とも言いようがない」と戸惑いを見せた。