3月21日にオープンするJPタワーと「KITTE」

 東京駅周辺が2013年になって、ますます盛り上がりを見せています。

 2012年10月の「東京駅丸の内駅舎の保存・復原工事」完成以降、実に多くの観光客が東京駅周辺に訪れるようになりました。人が集まりすぎたことで中止になった光のショーも大変な話題となりました。

 八重洲側では百貨店の大丸が1.4倍に増床してオープンし、売上も1.4倍程度増加するなど好調を維持しています。また、東京駅の新しい地下街であるグランスタにも連日たくさんの人が訪れています。東京駅がひとつの新しい街として認知され始めたようです。

 その東京駅前にまた1つ、注目のビルと商業施設がオープンします。2013年3月21日にオープンするJPタワーとJPタワー内商業施設のKITTE(キッテ)がそれです。古くて新しい東京駅の変化から見えてくるものとは何か。そして、初めて商業施設を手掛ける日本郵便の狙いはどこにあるのでしょうか。

最高の立地にある「郵便局」を軸にした
日本郵便の成長戦略

 東京駅の丸の内駅舎は日本を代表する歴史的建築物の1つでした。英国ヴィクトリア朝の建築のエッセンスを取り込んだ、日本における近代建築の原点とも呼べる建物です。したがって、改築するにしてもどのように改築すべきか。建物をそのままの形で残すべきか否かなども含めた議論がありました。2012年に100年前の形を再現することで1つの結論がでたのです(詳しくは「東京駅に人が惹きつけられるのはなぜか?通過する駅から人の集まる街へと進化する!」参照)。

 こうした一連の東京駅周辺地区に関する論議は、1つの調査報告書にまとめられています。1988年3月にまとめられた「東京駅周辺地区総合整備基礎調査」(国土庁、運輸省、建設省)という報告書です。これは東京駅赤レンガ駅舎の形態保全を決めたレポートであると同時に、このなかで中央郵便局の方向性についても若干論じられています。

 同レポート内に、東京駅周辺地区の抱える課題について次のような記述があります。

(以下、「東京駅周辺地区総合整備基礎調査」報告書より一部抜粋)

①地区内の業務ビルは、比較的老朽化が進んでおり、かつ高度利用が十分なされていない。
②東京中央郵便局の局舎は、昭和65年度には一部の機能が他に移転されること、周辺のニーズに対応した機能の付与が要請されることなどを勘案し、一層の有効活用が求められる。
③地区内には国鉄清算事業団所有地が約3.4haあり、この有効活用が求められる。
④丸の内駅舎は、駅舎施設機能が十分に発揮されていない一方、都市の歴史的ランドマークとして良く市民に親しまれてきており、保存を求める声もおこっている。最近では催物の場として活用されている面もある。
⑤八重洲側には現在、地域物産の展示機能があるが、魅力に乏しく、利用者も少ない。

(以上、転載ここまで)