コンビニ・レジ横の「ドーナツ」なぜ消えた?救世主扱い→期待外れの末路たどったワケレジ横に専用ケースを置いて販売するコンビニエンスストアのドーナツ売り場=2015年4月14日、東京都千代田区のセブン‐イレブン店舗 Photo:JIJI

今から8~9年ほど前。コンビニ大手はこぞってレジ横にドーナツ売り場を設け、オリジナルのドーナツを売り出した。人気チェーン「ミスタードーナツ」からシェアを奪う可能性も指摘され、経済誌には「ドーナツ戦争」の文字が躍った。だが、今ではコンビニの店内から什器(じゅうき)は消え去り、「戦争」の勝敗は鮮明になっている。そもそも、なぜコンビニ各社はドーナツに参入したのか。そして、なぜ期待外れに終わったのか。要因を解き明かしていく。(流通ジャーナリスト 森山真二)

コンビニのレジ横から
いつのまにか消えたドーナツ

 コンビニエンスストアのドーナツはどこに消えたのか? 2015~16年頃、コンビニ大手各社は競ってドーナツの什器を導入し、レジ横のホットスナックコーナーでドーナツを売り出した。

 ところがどうだろう、今では雲散霧消し跡形もない。菓子パンと同じ商品陳列棚でドーナツを売っているチェーンもあるが、レジ横の什器では取り扱っていない。コンビニのドーナツはどうしたのだろうか。

 その理由を探る前に、そもそもコンビニ大手がドーナツに参入した裏事情を説明しておこう。セブン‐イレブン・ジャパンのライバルに当たる、某大手コンビニチェーンの関係者は当時、各社がこぞってドーナツに手を出した要因をこう語っていた。

「おでんをやめる布石ではないか」