日産「サクラ」なぜ大ヒット?“短い航続距離”でも不満少ないワケ【元日産エンジニアが解説】フロントバンパーやヘッドライト周りなど、まさに「アリアの孫」といった外観で登場した、日産の軽BEV「サクラ」 Photo:SOPA Images/gettyimages

2022年6月の発売以来、累計受注台数が5万台を突破するなど大ヒット中なのが、日産自動車の軽EV「サクラ」である。この車が台頭するまで、日本のユーザーにはEV購入に消極的な層が多かった印象だが、なぜサクラは広く受け入れられたのか。かつて日産で開発エンジニアを11年間務めた経験を持つ、自動車ジャーナリストの筆者が独自の視点で考察する。(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)

軽EV「サクラ」が受注5万台突破!
人気の要因とは?

 日産自動車の軽EV「サクラ」の売れ行きが、絶好調だ。

 2022年5月20日の発表から3週間で1万1000台を受注。同年の登録車数は2万1887台に達した。23年の実績を見てみると、11月末時点で約3万5000台が新規登録されている。発売(22年6月)以降の累計受注台数は5万台を突破している。

 日産の売れ筋モデルの一つである軽トールワゴン「デイズ」とほぼ同じペースで売れるという、バッテリー式電気自動車(BEV)としては考えられない売れ行きだ。BEVとしては国内ナンバーワンの結果である。

 サクラが登場するまで、日本のユーザーはBEV購入に消極的だったように思われる。そこから一転、航続距離の短い軽EVのサクラが積極的に選ばれるようになった理由は、いったい何だろうか。かつて日産で開発エンジニアを11年間務めた経験を持つ、自動車ジャーナリストの筆者が考察する。

 往年のネットワークを活用し、某日産ディーラーに「サクラの購買層や用途」を詳しく聞いた結果もお伝えしていく。