30社以上のベンチャーを支援する立場でありながら、本心では「若者が起業すべきだとはあまり思っていないんですよ。『起業しろ』と言う投資家もいますが、僕は『起業するな』と言うくらい」だと明かす。むしろいまベンチャー業界に足りていないのは、経営者を支える「ナンバー2」だという。
「経営者に力があっても、組織全体でのチーム力がいまいちなベンチャーが多い。財務や戦略面などで経営をリードできる起業家の右腕的な存在がいると、組織の力はグッと高まります」
ベンチャーというと経営者ばかりが目立つが、自分で起業するのではなくトップを支えるのも重要な役割。実際、最近はメルカリやミラティブなど、CFO(最高財務責任者)やCOO(最高執行責任者)が目立つ企業も増えている。
須田氏が担っている社外取締役も、少し引いた位置から組織を支えるポジションだ。その判断の礎にあるのは、やはり孫正義の下で働いたソフトバンク時代なのだろうか。
「正直、スキルアップにつながったのかはよくわかりません。あれは戦争経験みたいなものだと捉えていて(笑)。辛いことがあっても、『あの頃よりはマシだな』と踏ん張ることができる。私自身もまだまだですが、精神的には少し成長できたのかもしれませんね」