――kintoneはPaaSですが、どんなところに可能性を感じていますか。
僕らは「会社」ではなく「部門」に売りに行きます。50~100人のチームがひとつのターゲット。しいていえばSalesforceが競合ですが、共存できます。全社はセールスフォースだけれども、ある部門ではkintoneを使うといったように。国内では上場企業の6社に1社、kintoneだけで1万1000社に導入されています。
2014年当時、米国市場ではPaaSという言葉自体ほとんど認知されていませんでした。当初競合はほとんどなかったのですが、「プラットフォームを作るアプリケーションだ」ということが認知されると、競合が雨後の竹の子のように出てきました。ガートナーが「aPaaS(Application Platform as a Service)」という概念を提唱したのが大きかったのでしょうか。
今では「kintoneとQuick Base(https://www.quickbase.com/)は何が違うの?」とコンペティターとの差別化が重要視されるようになりました。よくも悪くも、コンペティターが増えましたね。
SNSの「シェア文化」で変わる潮流
――システムは異なれど、「情報を共有する」という基本的な考え方は変わらないのですよね。米国で受け入れられるのでしょうか。
流れとして、昔のメール文化は今やFacebookやTwitterといったソーシャルネットワーク、つまり「シェアする」という文化に変化してきています。
今グループウェアを売れば、(撤退した時とは)違うのではないかと思うくらい、シェアカルチャーは広がっています。社内SNSなんかもいけるかもしれません。SlackやZoomといったチームコミュニケーションのアプリも流行していますよね。kintoneもそういう、大きな「共有」というカルチャー、流れには乗ることができているように思います。
――米国での販売状況を教えて下さい。
導入企業は今300社ほどです。100社が日系企業ですが、あとは現地企業です。前述のとおり基本は部門に導入していきます。50~100人前後のチームがひとつのターゲットです。シリコンバレーに本社を置く某有名IT企業や、NASA(アメリカ航空宇宙局)などは非常に積極的に使ってくれています。NASDAQに上場した配車サービスのLyftも契約書の管理に利用しています。
57%の離職率は「想定内」
――日本のサイボウズは働き方の多様性を許容している会社だと思います。しかし米国法人は、2017年度の離職率が50%を超えていたと聞きます。