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精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、2002年には約258万人。それが2017年には約419万人にまで増えており、年間ベースでは約10万人以上増加している計算になる。
刀禰氏は「人口減少傾向の中、患者数はこの15年減っていない。重度の疾患に一度かかると慢性疾患化する傾向もあり、当面解決し得ない問題なのでは」と捉え、産業医の課題に加えて、メンタルヘルスの課題解決にも着目するようになった。
精神科医による医療面からのアプローチを除き、「組織内のメンタルケアという概念はほとんど浸透していなかった」と指摘する刀禰氏。だが、少子高齢化による採用難が本格化するにつれ、企業は「今いる人たちを活用しなければ立ち行かないというタイミングに、ちょうどさしかかっている」と刀禰氏は考えている。
厚生労働省が示す指針では、職場のメンタルヘルスケアを適切かつ有効に実施するためには「4つのケア」を効果的に推進する必要があるとしている。すなわち、労働者自身による「セルフケア」、上司など管理監督者の「ラインによるケア」、産業医や衛生管理者など「事業場内産業保健スタッフによるケア」、外部の機関や専門家など「事業場外によるケア」の4つだ。
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だが、従業員数50名以上の事業場で実施が義務化されているストレスチェックに比べると、「4つのケアについての認知は恐ろしく低い」と刀禰氏は語る。また、どのような手順で4つのケアを具体的に進めればよいのか、知見も共有されていないという。
「医療・ヘルスケア領域でビジネスを進め、試行錯誤する中で、2年ほど前からメンタルヘルスへのベーシックな対応策、鉄板のやり方が分かってきた。この対応策を、産業医ビジネスとクラウドサービスの組み合わせによって世の中に浸透させようと、2018年8月に社名も変更し、メンタルヘルス分野の事業に集中することにした」(刀禰氏)
採用支援にも使えるメンタルヘルスソリューション
メンタルヘルステクノロジーズでは、厚労省の唱える4つのケアをベースにしたメンタルヘルスソリューション「ELPISシリーズ」を展開する。従業員がメールで産業医や専門医に相談できる「ELPIS-ケアーズ Lite」は、産業保健スタッフや外部の専門家への相談窓口として機能。またオンライン研修サービス「ELPIS-eラーニング」では、従業員や経営陣がストレスマネジメントやケアについて学べるカリキュラムと、個々の理解度をチェックするシステムを提供する。