この10月には新たなサービス「ELPIS-メンタルチェック」の提供も開始した。ELPIS-メンタルチェックはメンタルヘルス特化型のオンライン性格判断サービス。心理学と統計学を組み合わせた性格診断プログラムを提供するディグラム・ラボと同社がアルゴリズムを共同開発し、延べ2600万人のデータをもとにプロの産業医・精神科医が判定結果を監修している。20問の質問で性格を31タイプに分類。採用候補者の入社後活躍パターンや、離職・ストレス耐性などのメンタルリスク、上司との相性などを統計学的に分析できる。

「これまで僕らは人事部門に健康管理・労務の部分でソリューションを提供してきたが、『採用時点でも何か対応できないのか』というニーズは以前からあった。また、採用を支援する診断ツールはいろいろ提供されているが、メンタルにフォーカスしたものはない。僕ら自身が入口でのメンタルチェックの必要性を感じていた」(刀禰氏)

「ELPIS-メンタルチェック」診断結果報告書のサンプル 提供:メンタルヘルステクノロジーズ350「ELPIS-メンタルチェック」診断結果報告書のサンプル 提供:メンタルヘルステクノロジーズ
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 メンタルテクノロジーズでも実際にELPIS-メンタルチェックを全社員でテストしてみたところ、診断結果は「本当にその通りだ」(刀禰氏)と納得のいくもので、従来から使っている採用診断サービスと併用するようになったそうだ。

 ストレスチェックでは、医師などから従業員へ直接結果が通知されるので、人事部門が結果を活用することは難しいが、このサービスでは結果を生かすことができる。「パターンごとの相性も出るので、応用範囲は広い」と刀禰氏はいう。

「使い放題の月額制(3万円~)なので、採用候補者だけでなく、アルバイトや委託社員も含めた組織全体で、同額でテストできる。定期的に診断すると、前職でストレスが高かった人などでは結果が変わる人もいる。プロジェクトのチームビルディングなどにもおすすめだ」(刀禰氏)

組織のメンタルヘルスケア、課題は「3つの“不”」

 刀禰氏が考える、組織のメンタルヘルスケアの具体的なステップは「3つの“不”」、すなわち従業員の「不信」「不満」「不安」を取り除くことで進められるという。

「まず『企業が必ずやらなければならないこと』としては、コンプライアンスを守ること。それから経営陣やマネジャー層が『自分と他人のストレス耐性は違う』と認識することだ。ついで休職・復職フローを仕組み化して確立する。その後、産業医や保健師、または外部機関への相談窓口を設けた上で、セルフケア、ラインケアを行うのが正しい順序だ」(刀禰氏)

 組織の中でメンタルヘルスケアへの意識が高まりはじめると、真っ先に管理職研修などにより、ラインケアから実施しようという企業も多いそうだが、刀禰氏は「休職・復職を仕組み化して、体制を整えるのが先。体制が整っていない中で、いくらラインケアをやろうとしても機能しない」と話す。