客層は、職場が近くにあり仕事終わりに訪れる女性はもちろんのこと、近隣に住む母親たちも多い。「お客様同士も仲が良くて、皆さん、家事の合間や仕事終わりにリラックスしに来られます」とスポッツウッド氏。忙しい女性の疲れを癒やすため、シャンパンやローズヒップティーなどのワンドリンクと、マッサージのサービス付きだ。
2019年4月には、電通、B Dash Venturesが運営するファンド他を引き受け先とする、総額約3.2億円の第三者割当増資を実施した。調達した資金を活用し12月12日、新店舗である六本木ヒルズ店を開店。他の3店舗にはない、ショップインショップ(ショッピングセンターの中にある店舗のこと)の形態を取っているのも特徴だ。
「席数が限られていて、会員になっていただいたお客様に何度もリピートして使ってもらいたいので、1店舗あたりの会員数は50人ほどを目標にしています。そのため、シャンプー&ブロー文化を浸透させるため、今後は店舗数の拡大を進めていきたい」(スポッツウッド氏)
料金プランはサブスクリプション型の会員制と、ビジター向けの1回利用の2種類があり、専用のウェブサイトで簡単に予約ができるようになっている。
米国で大流行中の“シャンプー&ブロー”文化
スポッツウッド氏は神奈川県鎌倉市で生まれ、7歳の時に家族とともに米カリフォルニアに移住した。 そのまま米国で育ち大学を卒業し、ニューヨークで数年間働いた後、日本に戻り、PwC Japanにて、事業会社向けの金融コンサルティングに従事していた。
毎日仕事に打ち込み、リラックスする時間が取れない。“シャンプー&ブロー専門店”に出合ったのは、そんな時だった。
「30分ほどで気軽に通える美容室を欲していたら偶然、ニューヨークの友人がシャンプー&ブローの専門店が米国ではやっていると教えてくれたんです。試しに行ってみたら、ものすごく良くて。なぜ日本にはないのか、不思議に思うほどでした」(スポッツウッド氏)
流行の発信地であるニューヨークやロサンゼルスでは、シャンプー&ブロー専門店がいくつもある。中でも「dry bar(ドライバー)」は1ブランドだけで全米130店舗以上展開するほど人気が高い。スポッツウッド氏も「数年前まで全くなかったのに、知らぬ間に文化として定着していて驚いた」と笑う。
そこから「日本にないのなら作ってしまおう」というチャレンジ精神で一念発起し、PwCを退職してJetsetを創業した。