「小さな不安をなくしたくありませんか?」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「不安」が取れません
あなたには、いつも小さな不安がありませんか。
ささいなことに不安を感じていつも悩み続けてしまい、どうすれば不安を減らせるのかわからない。
そんな悩みがあるのではないでしょうか。
不安を軽減する方法はいくつかあります。
マインドフルネスや瞑想などの実践、健康的な生活習慣や運動、友人や家族の支援を受けるなど、不安を軽減するためにはこれらの実践が有効とされます。
ただ、おそらくこれらの取り組みはもうすでにやったことがある、あるいはやろうとしてもできない、といった経験があるのではないでしょうか。
不安は「予知能力」でもある
ここで重要なのは、不安を無くすこと、つまり「不安をゼロにすること」に躍起になっていないかを振り返ることです。
人間が感じる不安というものは、これから起こり得る危険を察知するための予知能力のような側面を持ちます。
事前に起こりそうな未来のトラブルや起こるかもしれない危険を察知しておくことで、ダメージを減らすようにあなたに働きかけているのです。
この予知能力は、あなたがこれから安心で安全な人生を送るために必要な生理的な機能の一つなので、無くしてしまう、まったくないフラットな状態を作り出すことは不可能なのです。
まず、その事実を覚えておきましょう。
「考えない時間」を作り出そう
では不安に押しつぶされる人と、そうでない人の違いはなんでしょうか?
その違いには、「考えない時間」が重要だとわかっています。
人間の脳は何もしていない時間であっても絶えず情報を得ようとして動いたり、過去や未来のことに思いを寄せようとするものです。
それほど情報過多になっている脳を意図的に思考から切り離して「考えない時間」を意図的に作り出すことで、脳が不安を受け入れるための準備が整い、不安は軽減されていくのです。
そんな「考えない時間」を作り出す方法論が、瞑想やマインドフルネス、運動などの取り組みなのです。
マインドフルネスの最高峰と言えば僧侶やお坊さんですが、彼らも1日の間に何度も祈ったり、坐禅をしたり、お経を読んだり写経をしたりと無心で取り組みをおこないます。
それによって「考えない時間」を増やしていって、心の余裕を上手に増やしているのです。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』より一部を抜粋・編集したものです)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。