正義連や民主労総など全国610余りの市民団体の連帯である韓日歴史正義平和行動は2月、ソウルの中心部にある外交部庁舎前で記者会見を開き、「政府は屈辱的な対日外交を直ちに中断せよ」と主張した。このグループの人々は、元慰安婦問題と元徴用工問題の解決に反対する行動を繰り広げてきた。
しかし、日本文化に憧れたり、日本旅行を楽しんだりする韓国の若者世代を中心に、こうした反日活動に背を向ける人々が増えている。
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文在寅政権は極端な反日ムードを高め、日本製品不買運動を広げ、訪日自粛ムードを引き起こしたが、その反動が今起きているのだろう。
現在、反日デモなどに参加しているのは、一般市民ではなく、労働組合や市民団体の関係者がほとんどである。したがって、その資金源を抑え込み、活動を制約すれば、反日活動は沈静化していくだろう。
この機会を尹錫悦大統領が活用し、反日活動をする団体を無力化すれば、日韓関係改善の基盤はできるだろう。そして岸田政権がそれを後押しすることができれば、日韓関係は新しい局面を迎えるのではないか。
ただ、尹錫悦政権が次の総選挙で敗北すれば、政治改革は後退し、日韓関係改善の基盤構築は遠のくであろう。2024年は日韓両国の国内政治の節目のみならず、日韓関係にも節目の年となりそうである。
(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)