米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は12月上旬のイベントで趣味は何かと尋ねられると、少し考えてから笑みを浮かべた。「私にとっては盛大なパーティーだ。それは極めて良好なインフレ統計が発表されたときで、これほど楽しいものはない」と答え、ジョージア州アトランタのスペルマン大学に集まった人々の笑いを誘った。パウエル氏は「インフレ率の大幅な低下」という悲願をようやく達成しつつある。だがこれによって、選択肢を広げておきたいFRB高官らが投資家の早期利下げ観測を押し戻すことは難しくなり、おなじみの頭痛の種が生まれている。先週の連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表されたFRB高官らの政策見通しでは、来年に少なくとも3回の利下げを想定していることが明らかになった。それ以降、投資家がさらに急ピッチかつ大幅な利下げを織り込んでいることにFRB高官らは困惑している。その結果、FRBが痛みを伴う景気後退(リセッション)を招かずにインフレを抑えようとしている中、利下げの時期と速度を巡って混乱が生じている。
FRB議長の方針転換、利下げ時期・速度で混乱も
高官の一部は「3月利下げ」観測を押し戻し、選択肢を残しておく構え
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