ウォーシュ次期FRB議長は量的緩和批判なのに「利下げ支持」、FRBへの“3つの批判”から新体制を読み解くFRBの元理事ケビン・ウォーシュ氏 Photo:EPA=JIJI

次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長に元理事ケビン・ウォーシュ氏が指名された。QE(量的緩和)批判で知られながら、足元では利下げを語り、トランプ大統領の主張に寄り添うようにもみえる。だが鍵は「中央銀行の資産は信認」というFRB観だ。財政ファイナンス、使命拡張、構造変化軽視というウォーシュ氏のFRBに対する3つの批判を検証し、新議長就任後の政策動向を予測する。(みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部プリンシパル 小野 亮)

利下げ支持とQE批判をつなぐ
共通項は信認

 次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長に元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏が指名された。ウォーシュ氏は、一貫した量的緩和批判で知られるが、2025年以降は利下げを主張するようになっている。

 後者については、利下げを求めるトランプ大統領が正しく、パウエルFRB議長が間違っているという考えを持っているようで、FRBの独立性が危ぶまれる。ところがウォーシュ氏は長年FRBの独立性を強く訴えてきた人物でもある。

 量的緩和の恒常化を批判してきた人物が、なぜ利下げを語るのか。トランプ大統領が正しいという人物が、本当にFRBの独立性を重要と思っているのか。そんなウォーシュ氏のFRB議長としての政策運営はいったいどうなるのか。ウォーシュ氏指名を受けて、市場が動揺したのも無理はない。

 謎を解く鍵は、「信認が損なわれている」というウォーシュ氏のFRB観だ。ウォーシュ氏は、中央銀行の最大の資産は信認であり、そのためには物価安定の達成が不可避であるとする。

 ところが国際金融危機以降のFRBは、幾つかの要因によって正しい判断ができなくなった。次ページでは、ウォーシュ氏の現在のFRBに対する指摘を3つ取り上げたい。