厳しい米大統領選まであと1年足らずとなり、バイデン政権は政治の破滅ループに巻き込まれる危険を冒している。ジョー・バイデン氏が弱い大統領だという米国内での認識は、外国の指導者に対応する際、同氏の権威を損なっている。一方で、世界情勢の悪化は国内での同氏の人気を低下させている。バイデン氏の外交政策の取り組みは、必ずしも成功しているわけではない。ウクライナ情勢では、西側諸国の言い争いや政策の失敗が、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に自身の方へ勝利が向かっているかもしれないとの期待を抱かせる要因になっている。中東では、イスラム組織ハマスによるテロ攻撃を受けて当初は西側諸国で高まったイスラエルへの同情の波が消えるにつれ、ハマスによるガザ地区支配の維持につながる停戦を求める声が着実に高まっている。さらに不吉なことには、レバノンやシリア、イエメン、イラクにいるイランの代理勢力が攻撃を激化させており、イエメンの武装組織フーシ派は現在、極めて重要な紅海で平和的に運航している商船を攻撃している。