誰にでも神様の力にすがりたいときがあるだろう。しかし、適当に近くの神社にお参りしても的外れでご神徳を受けられない場合がある。神様の得意分野を知り、自分の願いに応じた神様のいる神社にお参りしよう。(取材・文/フリーライター 水口陽子)
神様と仲良くなるため
普段から心がけたいこと
「神社に行って神様にお参りすれば、たちどころにご神徳を受けられるというのは考え違い」と言うのは、「神仏探偵」の異名を持つノンフィクションライターの本田不二雄氏。
普段は神様のことなど念頭にない暮らしをしているのに、ある日突然、願い事をしても神様には届かない。まずは自分の住んでいる地元に鎮座する「氏神様」とお近づきになろう。
「氏神様とは、自分が居住する地元の守り神のこと。自分がよって立つ場所の神様とねんごろな関係を結んでおくことが、日常生活を過ごす上での基本です。普段から近所の氏神様に立ち寄り、ご挨拶のお参りをしましょう」
もしルーティーンにするなら、毎月1日に詣でるのが神縁を結ぶためのポイント。別名、朔日(ついたち)参りという。1カ月を無事に過ごせた感謝と、新しい月の無病息災や家内安全を1日にあわせて祈念することで、神様との縁が結ばれていくのだという。
「また、年に1~2回は、地域を代表する歴史ある古社や名社を詣でたいものです。連綿と多くの人々の祈りが積み重ねられた神社で、自分もその末端に身を置いていることを感じ、神様と共にあることを意識できます」
たとえば東京近辺なら、1900年の歴史がある大國魂神社(東京都府中市)や、2400年以上の武蔵一宮氷川神社(埼玉県さいたま市)。
「個人的には、縄文期以来の聖地といわれる大宮八幡宮や井草八幡(ともに東京都杉並区)も初詣におすすめです」
全国なら、「一宮」がつく神社も、それぞれの地域で最も格式の高い神社であり、ご神徳も高いことから、昔から現在まであつく信仰されている。
神社では、手水を使う、二礼二拍手一礼といった基本の参拝作法(神社によって独自の参拝作法を伝えているところもある)は順守したい。
「一番大事なのは、きちんと鳥居をくぐり参道を歩いて神社に向かうこと。駐車場の横道からショートカットするなどの行為は慎みたいものです」
確かに本気で願をかけようというときに、手を抜いていいわけがない。