岸田首相率いる官邸の
調整機能欠如とむちゃ振りで大混乱

 そこへ、岸田文雄首相率いる官邸の「プッシュ型支援」がやって来る。

「プッシュ型支援」とは、災害などの緊急時に、支援が必要とされる地域や人々に対して、その人々の要求を待たずに積極的に支援物資やサービスを提供するアプローチのことを指す。この方法は、支援の迅速化や効率化を目的としている。ただし場合によっては、実際のニーズと合わない支援が行われるリスクもあり、プッシュ型支援を行う際は、事前の情報収集や地域の状況把握が非常に重要となる。

「支持率が低迷する岸田首相は、何とか挽回のチャンスを得たいと焦っているようです。内閣府、自衛隊や警察の対応が思い通りにいかないと感じた官邸は、自治体のトップと岸田首相との『ホットライン』で得た情報を、『そのまま』『最優先で』『実行』するよう指示が飛んでいます」(防衛省関係者)

 震災直後の自治体トップは冷静さを欠いていることがあり、これまでの震災の経験を踏まえた判断が官邸には求められるのだが、それを岸田首相はあえてしなかった。

「プッシュ型支援においても、内閣府が主体となって行う政府支援、経済産業省独自の支援、防衛省独自の支援が総合調整されないままに始まり、ニーズ取りも個別、物資の選定や輸送も個別で大混乱してしまった」(同)

「多少の混乱があるのは仕方ない面がありますが、被災地から『輸送された当日までしか消費期限がない大量のおにぎりが運ばれてきた』と抗議がありました。また、誰がまとめたか分からない出どころ不明の孤立者リストが出回り、これを『しらみつぶしにチェックしろ』という指示が飛んだのです。とにかく問題の根本は、岸田首相と自治体のトップとの直電話、ホットラインです。ホットラインを受けた岸田首相は『とにかく全力で何とかしろ』という指示を飛ばすのみ。冷静な判断力を失ってしまった」(同)

 自衛隊が現場で得た実際の状況に関する情報や、緊急を要している行動の観点からはかけ離れた指示が最高司令官である岸田首相本人から飛んでくるのである。「現地の声を聞く、寄り添う総理」をアピールしたいのは分かるが、現地へマイクロマネジメントを仕掛けては混乱するだけであろう。

「混乱を極めたのは、官邸からの『被災地のニーズを確認するための御用聞き部隊を編成しろ』というむちゃ振りでした。そんなことに余力を割けるようなタイミングではなく、物資を支給する部隊が、配る際に住民からニーズをくみ取ればよかった。バックヤードで、混乱しがちな現場を落ち着かせる役目が本来、官邸には求められたはずです。しかし、官邸は混乱ばかりを招いてしまった」(同)