静粛性はハイレベル。音と振動はよく抑えられていて、ほとんど気にならない。ディーゼルでこの静かさはすごい。吹き上がる途中でディーゼルだと感じる領域は確かにあるが、ごく普通に走る分にはディーゼルだと気づかないほどだ。

“駆け抜ける歓び”は
エントリーモデルでもフルに味わえる

 他のX1の印象も簡単に紹介しておこう。2Lガソリン(204ps/300Nm)を積む20iには、マイルドHVが搭載されていない。そのせいか、走り始めはディーゼルほどリニアではない。それでも低回転域から力強いトルクを生む特性で、ストレスを感じることはない。比べるとガソリンは、やはりディーゼルよりも静かで吹き上がりもスムーズである。

 20iと20dのどちらを選ぶかは、経済性を含め何を重視するかで決めるとよいだろう。どちらも高い満足が得られるはずだ。トランスミッションは、どちらも7速DCTが組み合わされるが、つながりがスムーズで扱いやすい。

 BEVのiX1も、これまた完成度が高い。全域で静かでスムーズな走りは、内燃エンジンを積むX1とは別もの。同等クラスのBEVと比べても、実力では一歩リードしているように思えた。アクセル操作に対して多少のショックを許容しているのは、よりダイレクトに速さを体感できるようにするためだろう。20dと同様の“10秒ブースト機能”を使うと、ガツンといった感じでかなり強烈に加速する。これはインパクトがあった。

 新しいX1はどのモデルも欠点らしい欠点が何も見当たらない。“駆け抜ける歓び”はエントリーモデルでもフルに味わえる。さすがBMWと、あらためて感心した。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/山上博也)

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