インテリアのクオリティ感もさすがのレベル。エントリーモデルでここまで仕上げるのかと感心した。横長のBMWカーブドディスプレイを備えたインパネや、シフトレバーだけでなくiDriveコントローラーのなくなったセンターコンソールがフレッシュな印象を強調する。
アップライトなドライビングポジションがもたらす視界はワイド。後席の居住空間やラゲッジルームもこれで十分と思える広さだ。リアシートは3分割可倒式でセンターだけ倒して長尺物が積める。
走りも大幅にリフレッシュしている。新型X1には、ガソリン、BEV、ディーゼルの全ラインアップに試乗。今回あらためてディーゼルをドライブしたが、乗るたびに完成度の高さに感心する。
まず足回りが素晴らしい。乗り心地と操縦安定性のバランスがちょうどよく、ハンドリングは自然。どんなシーンでも、扱いやすい。
BMWらしい走りの完成度に感銘
まさに意のままに走り/曲がり/止まる!
段差や継ぎ目の通過時などに若干の硬さを感じるシチュエーションはあるが、ランフラットタイヤをやめたことも効いてか路面への当たりには角がなくなっている。
感銘を受けたのは、ステアリングを切ったときの曲がり具合と、戻したときの収まり具合が見事に操作とシンクロしている点だ。応答遅れは小さく、揺り戻しもほとんど気にならない。クルマは素早く動くのが偉いのではない。ドライバーの操作に対してリニアに反応することこそ大切である。X1はまさしく“意のまま”だと感じた。理想的なダイナミズムを実現している。電制ダンパーを装備したMスポーツは、より万能にどんな路面にも対応できる。
パワートレーンの仕上がりも上々である。20dが積む2Lディーゼル(150ps/360Nm)は内燃エンジンが不得手とする走り出しの極低回転域でモーター(19ps/55Nm)が巧みにアシスト。出足から軽やかそのものだ。アクセル操作に対するレスポンスがほどよくリニアな点も魅力である。エンジン自体もアクセルの踏み込みに即したトルクをそのとおりに生み出しており、車速を緻密にコントロールしやすい。日常シーンで非常に乗りやすく、踏み込めば思いのままに力強く加速してくれるクルマだ。
ステリングホイールに設定されたパドルスイッチを操作すると、10秒間だけブーストが高まり、より力強さが増す。これは痛快で病みつきになった。