「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。
人の心を動かす言葉とは?
たとえば、商品の魅力をプレゼンするとき。理屈だけを並べて説明する人と、そこに自分の体験を交えて熱っぽく語れる人とでは、どちらのほうが人の心を動かせるでしょうか? 当然、後者です。
体験することで得た感覚や感情、情報などは、その人独自のものです。オリジナリティのある言葉は人を惹きつけ、説得力を持って相手の胸に迫ります。
だから、様々な体験をしましょう。体験すればするほど、持っている言葉に奥行きが生まれ、深みも増していきます。
体験は、どんなことでも構いません。山に登る、旅に出るなど大きな体験だけではなく、映画を観る、話題のレストランに行く、美術館に行く、セミナーに参加する、コンビニの新作スイーツを食べてみるなど、なんでもよいのです。ただし、大切なのは、小さな体験であっても、その感想を色々な言葉で表現してみること。
たとえば、美術館で絵画を観たとき。「斬新な色使いだな」と思った場合に、「斬新」を他の言葉に置き換えてみる。あるいは、そもそも「斬新」が自分の気持ちを表す最適な言葉なのか考えてみる。しっくりこなければ辞書でぴったりの言葉を探してみる。すると、「深海を思わせるような深すぎる青」という言葉にたどり着くかもしれません。
このように、新しい言葉に偶然出会うのを待つだけではなく、自ら積極的に言葉に出会いに行く意識を持つといいでしょう。
*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。