2023年の企業倒産件数は2年連続で前年を上回る水準となった。「ゼロゼロ融資後倒産」と「物価高倒産」は過去最高を更新。また、小規模企業の倒産や粉飾倒産が目立った。2023年の倒産傾向を分析するとともに、今年の倒産リスクの見通しについて解説する。(帝国データバンク 情報統括部 情報編集課長 内藤 修)
「ゼロゼロ融資後倒産」と
「物価高倒産」が過去最多に
2023年の企業倒産は、コロナ禍前の「平時」の姿に戻った。倒産件数は8497件発生し、2年連続で前年を上回り、2015年(8517件)に迫る8年ぶりの水準となった。コロナ禍の2021年(6015件)、2022年(6376件)の歴史的な低水準を経て、企業倒産は底打ちが鮮明となった。前年からの増加率は33.3%に急上昇し、バブル崩壊後で最も高かった。
コロナ支援策の縮小に加え、物価高や人手不足等によるコスト増に耐え切れなくなった中小企業の倒産が急増した。月別推移を見ても、2022年5月から20カ月連続で前年同月を上回った。特に12月(806件)は2023年で最多となった。年末、年度末は例年、企業倒産が増える時期だが、2023年も中小・零細企業を中心に増加基調を強めた。
コロナ禍で実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を受けながら、業績改善できず事業継続を断念する企業が目立つ。「ゼロゼロ融資後倒産」は、2023年に651件(前年386件、68.7%増)判明し、集計開始の2020年以降で最多を更新した。実際の融資額が判明した約400社のゼロゼロ融資借入額の平均は約5800万円となり、「不良債権(焦げ付き)」に相当するゼロゼロ融資喪失総額は推計で約716億3800万円に上った。
「物価高倒産」も急増した。2023年に775件判明し、年間で初めて700件を超え、過去最多を記録した前年(320件)を大きく上回った。業種別の内訳を見ると、「建設業」(186件)が最も多く、前年(70件)の2.7倍。「製造業」(160件)も前年(61件)の2.6倍に増加した。