米国人の寿命は伸びているが、健康に過ごせる時間は短くなっている。米ワシントン大学保健指標・保健評価研究所(IHME)の「世界の疾病負荷研究」による最新データの分析によると、人生のうち健康な状態で過ごせた割合の平均は2021年に83.6%となり、1990年の85.8%から低下したと推定されている。健康でいられる時間が減った一因は、医学の進歩により、かつては死に至った疾患が発見・治療されるようになったことにある。しかし、肥満・糖尿病・薬物使用障害といった疾患の有病率が上昇し、若年層でそうした傾向がよく見られることも影響している。健康状態が悪化すると、患者とその介護者に重い肉体的・精神的負担を強いる。また、家計を圧迫する医療費の高騰や、働きたくても働けない人の増加など、社会への影響も大きい。