能登半島地震からの復興に関する議論が始まっているが、東日本大震災からの復興や新型コロナウイルス禍の対策の際には、政府や自治体が税金をデタラメな使い方をしてしまった。能登半島を復活に導く解決策は何なのか?(イトモス研究所所長 小倉健一)
防衛費増額の財源に「復興税」転用で
“事実上の増税”に
1月1日夕方に起きた能登半島地震。暫定的な被害額は、2兆625億円と推計(野村総合研究所の木内登英氏)されており、東日本大震災(16.9兆円)や阪神・淡路大震災(9.6兆円)に次ぐ規模になった。政府は1月16日、2024年度予算案の修正を決め、震災復興に向けて使い道を限定しない「一般予備費」を5000億円積み増した。全額を赤字国債の追加で賄う。
他方、史上まれにみる防衛費増額の財源について、東日本大震災の復興に充てる「復興特別所得税」を転用して防衛財源を賄うことが22~23年にかけて議論され続けていた。
「復興特別所得税(復興税)」とは、日本で13~37年までの25年間、東日本大震災の復興財源として徴収される税金だ。通常の所得税に2.1%を追加して支払う。年金や資産運用での利益など、個人が納める全ての所得税が上乗せの対象だ。
会社員など給与所得者は給与から天引きされており、税を納めている実感に乏しい、政府にとって大変に便利な税である。そもそも「復興」税にもかかわらず、復興の対象である東北各県の給与所得者にも増税がなされることに批判が上がっていた。