被災地をふみにじる「火事場泥棒」は実名公表で抑止できる【馳浩・石川県知事に直言】被災地で発生する卑劣な犯罪を抑制するための意外な対策とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

被災地での犯罪行為を厳しく
追及していた意外な人物とは

 能登半島地震では、被災者に対する犯罪行為が増加しています。過去の熊本地震、東日本大震災でも窃盗や義援金詐欺、家屋修理詐欺などが報告されており、いずれも「こんな時期にこんな犯罪は絶対許せない」という国民の意思を知らしめるべき犯罪です。

 実は、この対策を東日本大震災の際に国会で質問した、先見の明がある議員がいました。2011年8月1日に国会に提出された質問趣意書によれば……。

「震災につけ込んだ火事場泥棒は被災者の気持ちを踏みにじる卑劣な行為であり、取り締まりを徹底し、地域住民の安全と安心の確保が求められている。 従って、次の事項について質問する。

 一 東日本大震災発生以後、被災地域における窃盗等の犯罪発生件数及び摘発件数について示されたい。関連して、その被害額はどの程度の規模になるものと把握しているか示されたい。

 二 被災地を狙った犯罪行為は主に、どのような手口で誰の手により行われていると考えられるか。被災県外在住者や外国人による犯罪事例も存在すると言われるが、その実情について政府の見解を示されたい。

 三 被災地での窃盗等の犯罪に対し、取り締まりや警備態勢はどのようにして行われているか、政府の見解を示されたい」

 もし、こうした質問に政府が全面的に賛同し、全力で準備していたら、今回の被災地犯罪の一部は防止できたかもしれません。

 しかし、質問した議員の名前を聞くと、みなさん、驚くと思います。その人の名は、馳浩。そう、現石川県知事による衆院議員時代の質問なのです。能登半島は昨年も深度6強の大きな地震が発生し、群発地震も起きていたので、石川県知事としてその対策を考えておくのは当然です。

 彼は衆院時代の自分の質問を忘れていたのでしょうか。今回の災害に対する対策は道路啓開だけをとっても東日本大震災より遅く、水道、ガスなどライフラインの復旧も遅れています。地形の問題や、地震と津波が複雑な状況で起こったという理由もありますが、少なくとも地形の問題は知事として元からわかっていたこと。

 国会質問までした議員が、知事として震災対策に必死で取り組んでいたとは、とても思えない現状です。