先の復興予算もデタラメだったが、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」もひどいものだ。内閣府地方創生推進事務局の村上敬亮審議官は、「コロナ対策であればまったく制限はない」として20年に政策がスタートしたものの、コロナ対策とは関係のない予算ばかりのデタラメが横行した。東京オリンピック・パラリンピックの聖歌リレーのPR事業、花火の打ち上げ、着ぐるみの作成、大小2種類の風呂敷1200枚と1400枚(群馬県)、駅前施設のライトアップ(新潟県)などなどだ。
特に着目すべきは、今回の震災の被災地にもなった石川県能登町の「イカキング」だ。建設費約2700万円のうち2500万円はコロナ交付金が充てられ、無駄遣いだと批判を浴びた。それに対して能登町は、「約6億円の経済効果と約18億円の宣伝効果があった」とする推計結果を公表している。
しかし、そんなに経済合理性が高いのであれば、そもそも民間で造るべきだ。なぜ税金で、そのようなものを造る必要があったのか。同じ金額を災害対策に使えなかったのかなど、疑問は尽きない。
経営の神様・稲盛和夫氏は
「国の保護政策は一種の麻薬」と警告
では、どうすべきか。まずは心構えだ。京セラとKDDIの前身である第二電電を創業し、日本航空を復活させたことで、「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏。稲盛氏は阪神大震災(1995年)の後で、被災した経営者に「国の保護政策などに頼るな」と、こう檄(げき)を飛ばしている。
「いろんな中央官庁が、中小企業をなんとかしようという施策がありますが、あれは一種の麻薬です。そういう国の施策だけに頼ったら絶対にだめです。経営者は精いっぱいの自助努力をし、自分で生きるという勇気がなかったらだめなのです。そういう麻薬のようなものを飲まされて依頼心を強めると、日本の中小企業の経営は本当にだめになっていきます。いま、国をあげて保護政策を行い、県や市でも中小企業に担保なし融資だとか、無利子融資だとかして、皆のやる気をそいで無気力にしています」(『経営者たちの大震災 稲盛和夫と経営者たちが語るクライシス・マネジメント』盛和塾 神戸・播磨)
絶体絶命であれば国の助けは必要だが、自分たちの力で何とかするんだという気概がまずは必要ということだ。