「トップがビジョンも戦略も示さないのに、目標の必達だけは厳しく問われるんですよ」
「具体的なことと言えば、コストダウンしか言わないし・・・・・・」
こんな不満をミドルマネジャーの方々から聞く機会がたくさんあります。上期の締めを経て下期へスタートを切ったものの、「現場の意気はまるで上がっていない」という事態に陥っていませんか?
組織を預かるマネジャーはもちろんですが、部下たちも同じ気持ちではないでしょうか。ひょっとすると、「上司は何も指示してくれない」と、あなたに対しても不満を募らせているかもしれません。
今は、就職・転職市場も冷え切っているので、表面的には離職率が低下しているものの、潜在的な転職希望者は声を潜めているだけとも言えます。ビジョンがない企業は、優秀な人材を繋ぎとめることができなくなるかもしれません。
“ビジョン”は、環境が厳しい中でも頑張る勇気を出してくれる、底知れない力を持っているものです。では、そもそも、“ビジョン”とは誰が示すものでしょうか。またどうやって示すものなのでしょうか。
今回は、「ミドルマネジャーとビジョンの関係」について、一緒に考えてみましょう。
経営者は現場のビジョン
までは考えてくれない
欧米では、「会社のビジョンや戦略は経営トップが策定して示すもの」という考えが一般的です。しかし実際には、第一線の現場でも様々な状況に応じたビジョンや戦略を持つことが求められます。それを経営トップが示すことができないのは、明らかでしょう。
経営学の権威であるヘンリー・ミンツバーグ教授は、「ミドルアウト」という言葉でミドルマネジャーの重要性を説いています(『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー』11月号掲載「コミュニティシップ経営論」参照)。
「あなたの部門のビジョンは何ですか?」
ミドルの皆さんは、この問いにどう答えるでしょうか。