毎年のように失言を繰り返す麻生太郎副総裁がまたも、である。上川陽子外相について名前を間違えた上で、「おばさん」「美しい方とは言わない」と上から目線のジャッジ。当然批判は相次いだ。さらにこれを受けた上川外相の「どんな声もありがたく受け止める」発言にも失望の声が上がっている。なぜこのような発言が繰り返される土壌がなくならないのか。(フリーライター 鎌田和歌)
「おばさん」「美しい方とは言わない」
麻生氏の失言がどうにも止まらない
「このカミムラヨウコは大したもんだぜ」
自民党の麻生太郎副総裁(83)は1月28日、地元・福岡の講演会でこのように語ったという。「カミムラ」と名前を間違えられているのは上川陽子外務大臣だ。
麻生氏が「少なくともそんな美しい方とは言わんけども」と言うと、会場から笑い声が上がり、「オレたちから見てても、ほ〜このおばさんやるねえと思った」とジャッジを続ける。
全体を聞けば「新しいスターが、新しい人がそこそこ育ちつつあるんだと思いますねえ」「堂々と話をして、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん、会うべき人に予約を取っちゃう」「ぜひ女性、若い人、こういった人たちをわれわれは育てねばならない」と、上川氏を評価する内容であることはわかる。
しかし、すでに方々から問題が指摘されているように、容姿への言及は(たとえそれが褒めるものであっても)必要ないし、女性の方が容姿や年齢についてのジャッジを受けやすく、それがハラスメントになり得ることへの緊張感がカケラも見えない。「おばさん」呼びも同様である。
また、人を褒める前にいったん貶すやり方は、卑怯な人身掌握術だ。「厳しいことを言おうと思えば言えるんだぞ」という姿勢を示しつつ、評価する。自分に歯向かうことができないとわかっている相手に対して、その力関係を維持するために行う評価の仕方だ。
上川氏は次期首相の呼び声があると言われ、実現すれば日本で初めての女性首相となる。その人物に対して、公の場でこうして自分が評価する立場であることを鮮明に打ち出している。上川氏を利用した自分の存在感のアピールでもある。これも麻生節と評価する向きもいまだにあるのだろうか。聞いていて気持ちの良いものでは決してない。