2024年1月からついに開始された「新NISA」。この機会をきっかけに投資をはじめてみようと考えている人も多いのではないだろうか。そんな新NISAは、実は初心者が投資をはじめるのに最適な制度と言える。だが、落とし穴がないわけではない。目先の利益に執着してしまったり、経済の動向を見て焦って投資をやめてしまったりする人も少なくない。
そんな課題を解決するために発刊されたのが『新しいNISA投資の思考法』だ。本書はこれまで37万人の資産運用を見続けてきたウェルスナビ・CEOの柴山和久氏が投資に必要な考え方を1冊にまとめたまさに決定版だ。本記事では本文の一部を抜粋してお届けする。
お悩み:老後のお金を今のうちに貯めておきたい
今回は一般的だと思われる事例を通して、NISAの活用方法を解説する。
今回のケース
56歳女性Iさん
家族構成:55歳の夫
資産運用に興味を持ったきっかけ
Iさん夫婦には子どもが2人いますが、2人ともすでに就職し、それぞれ一人暮らしを始めています。子育てが終わったタイミングで、自分たちの老後の資金が心配になってきました。
お金はすべて定期預金に預けていて、1500万円ほどあります。数年前に「老後2000万円問題」という言葉を知って以来、何とか2000万円貯められれば安心できると思ってきました。
一方で、2人ともあと30年から40年生きるかもしれないと考えると、本当に足りるのか不安です。退職後は、夫婦で海外旅行に行きたいと思っており、いまの預金では、生活費を払うだけで精いっぱいなのではないかとも感じています。
資産運用(NISA)を始めるまで
老後の生活に対して持っている不安を誰かに相談したいと思っていたところ、Iさんの職場の福利厚生サービスで、マネーセミナーを受講できることを知りました。ちょうど、50代向けのセミナーが開催される予定になっていたため、申し込みました。
セミナーでは、50代であれば、債券に投資するのがおすすめで、定期預金よりは高い利回りが期待できると教えてもらいました。また、資産運用を続けながらお金を引き出していく「取り崩し」という方法もあるそうです。
NISA口座というものを開いて、そこで投資すれば、税金もかからないと覚えました。これまでは、資産運用について真剣に考えたことはありませんでしたが、債券であれば、定期預金に預けておくよりもよさそうです。
セミナーからの帰り道、定期預金を預けている銀行の前を通ったところ、NISAのポスターが貼ってあることに気づきました。いつも使っている銀行でも、NISAが使えるとは知りませんでした。早速、NISAのパンフレットをもらって帰り、セミナーで聞いた通り、債券に投資できる商品を探し始めました。